オフィス環境では、働き方改革の概念や取り組みが広がりつつあります。
その中でスペースの効率向上、柔軟な組織変更への対応、コミュニケーションの促進、自己主導的な働き方の推進などが重要視され、その一環としてフリーアドレスが導入されています。
フリーアドレス導入が促進されています
業界別に見ても、IT企業だけでなく、鉄道、小売、製造、不動産から中央省庁まで、さまざまな分野でフリーアドレスが採用されており、全体のオフィスのうち約20%がこの形態を取っています。
フリーアドレス導入のオフィスでは、空間を効果的に利用した防災備蓄対策が進んでいます。
フリーアドレスで活用できる防災備蓄
通常、防災備蓄品は倉庫にまとめられがちですが、オフィス内のスペースを有効活用することで、「BCP対策上、備蓄品を用意したいが設置場所がない」という課題を解消することができます。
有事の際には迅速に必要なヘルメットや救助用具が倉庫ではなくオフィス内にあることも重要です。
デッドスペースの活用
救助用の工具はかさばるため、企業ではそれらを倉庫にしまっていることが一般的です。しかし、地震などの災害時にはドアが歪み通れなくなったり、つり天井が落下して通路が塞がれたりする可能性があります。これに備えて、オフィス内に工具を配置しておくことが重要です。
デッドスペースに設置できる工具入れなら、新しい収納場所を設ける必要がなく、スペースを有効に活用できます。
ヘルメット
地震が発生した場合、すぐに被る必要のあるヘルメットは、デスク周りが最適な場所です。
マグネット式フックをデスクに取り付け、ヘルメットを掛けておくと便利です。ただし、通常のヘルメットは場所をとることがあるため、コンパクトなタイプを選ぶのがおすすめです。
また、フリーアドレスでは同じ席に同じ人がいるとは限らないのが一般的なので、簡単にあご紐の調節ができるコードストッパー式のヘルメットが適しています。
個人ロッカー
フリーアドレスが導入される中、個人ロッカーには1日分の水や食料がセットになった個人別の備蓄セットを収納しておきます。
1日分を個人ロッカーに保管しておけば、共用スペースの収納庫や倉庫には2日分の備蓄を収納すればいいので、全体の占有スペースを減らすことができます。
発災初日は各自が個人ロッカーのセットを使用することで、災害担当者はBCP対応などに専念できるため、最も忙しい初日をスムーズ対応できます。
チェア
チェアに防災備蓄品を取り付けておく方法も有効です。徒歩帰宅する従業員用の非常持ち出し用品をセットしておけば、担当者が個別に配布する必要がなくなり、在庫の管理もしやすくなります。
フリーアドレスが導入される際、収納スペースが減少することがあるため、新たな備蓄場所を必要としない方法が効果的です。
保管庫
保管庫は、地震発生時に必要な救急用品セットや当面の生活に必要な飲料水、食料、トイレなどの防災備蓄品を収納するのに適しています。
保管庫に収める用品は梱包時のサイズを考慮して選べば、デッドスペースをなくし収納効率を向上させることができます。
業務スペースに備蓄品を配置しておくことで、災害発生時には防災担当者が配布するのではなく、従業員が自ら取ることもでき、配布の手間を軽減することができます。
これには、災害発生時に保管庫の近くに座った従業員でも、扉を開けた時に中身を確認しやすいデザインの商品を選ぶと、運用がスムーズになります。
天袋収納
天袋収納は天袋までの高さがあり取り出しにくいことが理由で、何も入れていない企業も多いでしょう。
収納庫と同じく避難生活に使用する備蓄品を天袋に収納しましょう。ただし、重量のある災害備蓄品は取り出しにくく、家具の転倒を招く危険性もあるため注意が必要です。
まとめ
これまで倉庫に置かれていた防災備蓄品をすべてオフィス内に収納するのは難しいかもしれません。
緊急性や運用の観点から、オフィス内と倉庫に分散配置することで、災害発生時に適切な対応ができ、通常時でもスペースを有効に活用できます。