避難場所から空中の航空機に助けを求める方法です。
被害調査のヘリコプター
大規模な災害が発生したときに、セスナやヘリコプターが上空から現場の被害状況を確認しているのを、テレビなどで観たことがあるでしょう。
災害現場の被害状況を調べるとともに、救助を必要としている人がいないかも確認しています。
上空のヘリを見つけたとしても、地形や天候によってはこちらの存在に気付いてくれないかも知れませんし、こちらの状況を正しく伝えることができません。
災害で電話がつながらなくなり、孤立したことを知らせる手段がないときはどうしたらいいのでしょうか。
地上から上空に向けてのサイン
このようなケースに備えて上空から遭難者の存在を知らせるサインがあります。世界標準のサインですから、世界中のパイロットが理解することができます。
種類はたくさんあるのですが、私たちが覚えておきたいのは次の4つです。
V 救助要請
F 水・食料要請
I 医師要請(重傷者)
II 医薬品要請
ケガ人がなく水や食料が必要なら、「VF」と知らせればOK。航空機にはGPSが搭載されてますから、位置情報が瞬時に地上に伝わり、すぐに救助活動が始まります。人数を描くのも忘れずに、10人なら「VF10」となります。
もし、これらのことをすべて忘れてしまったときは、SOSでOKです。
適切なサインの方法
ヘリは避難者を見つけるために低い高度を飛んでくれますが、確実に見つけてもらうためには、文字の一辺は乗用車3台分くらいの長さが必要でしょう。
文字を書くためには、次のような方法が考えられます。
- 棒などで地面に書く
- 木の枝を集めて置く
- ラインマーカーで書く(校庭で白線をひくもの)
とにかく目立つもので、少しくらいの風雨で消えてしまわないよう、しっかりと書きましょう。
スピーカーの呼びかけに対して、YES・NOを伝える手段に手信号があります。これは簡単なのですぐに覚えられるでしょう。
右手は上げっぱなしで、左手の上げ下げでYES・NOを使い分けます。
救助連絡がついたらサインは撤去
救助要請が相手に届いたら、地上のサインはすぐに消します。一旦引き上げたとしても機内のGPSで位置は特定できていますから、位置情報は記録されているので安心です。
逆にサインを残したままにしてしまうと、後から別の人にサインを発見されたときに救助現場が混乱してしまうので、確実に消しましょう。
状況にもよりますが、横線を引くことができるようなら、水平な二本線を文字の上に書き加えることでも可能です。木の枝なら文字の形がわからなくなる程度には片付けておきましょう。
航空機へ光で知らせる方法
周囲に適当な広さの場所がなく、世界標準のサインが書けない時は光を利用して航空機に自分の存在を知らせる手段があります。
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- スマホくらいの大きさの鏡や光を反射するものを用意します。
- 鏡を自分の鼻のあたりで表面を外側にして片手で持ちます。
- 片目をつむります。
- もう片方の手は親指を立ててまっすぐ伸ばし、爪を航空機と重ねます。
- 親指の爪に光が当たるように鏡の角度を調節します。
親指の爪が光るということは航空機にも光が届いているわけですから、乗務員がこちらを向いていてくれれば自分の存在を知らせることができます。
夜間ならフラッシュライトを使用
今までの方法が利用できない状況では救助要請はできないのでしょうか。
いいえ、夜を待つ方法があります。ライトによって自分の存在を知らせることができます。
ライトを垂直に空に向けて、規則的な点滅を繰り返します。必ず垂直です。
代表的な点滅に、SOS(・・・ ━ ━ ━ ・・・ )があります。これは結構有名かも知れませんね。
ただし、この方法には弱点があります。相手が自分のサインに気づいてくれたか、その場では分からないことです。
連続してライトを使用すると電池が消耗してしまい、最後の手段も途絶えることになります。
それを防ぐためには1分点滅を繰り返したら30分休む、くらいのインターバルを繰り返します。
救助者がこちらの存在に気づいてくれたら、近くまで捜索に来た人がスピーカーなど大声で返事をしてくれるはずですから、救助が来るまでその場を動かないで待ちます。
せっかく救助に来てくれても、あなたが場所を移動してしまっては、いつまでたっても発見してもらえません。救助したら、その場を動かないのが一番です。
最近は安価で光量の大きいフラッシュライトが購入できますから、万が一に備えてバッグに入れておくのもいいでしょう。
まとめ
救助要請にはいろいろな方法があることを知っていただけましたでしょうか。使わない方がいいことばかりなので、完全に覚えることは無理かも知れません。
しかし、備えあれば憂いなしの言葉もあるように、防災の日など年に一度でもここに書いた方法を試してみれば、イザというときに役立つに違いありません。